Eyes, JAPAN Blog > 「無い」ことの豊かさ

「無い」ことの豊かさ

beko

この記事は1年以上前に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。

システムを作る過程において、「ある機能を入れるか否か」を決断する際にしばしば取られる解決策 (正確には、その背景にある思想) として、

「ないよりは、ある方ががいいだろう。」

というものがありますが、私はこれに対して (多分に) 懐疑的です。

蓋し*1、良い設計というものは、必要な機能を過不足なく備えているものです。設計がしっかりとなされていれば、何を実装すべきか (あるいは、何を実装すべきでないか) は、自ずと明らかになります。[命題 1]。
逆に言えば、それを明確にする行為こそが「設計」であり*2、実装の段階で機能を入れるべきか否かの迷いが生じるのは、設計が不十分だからに他なりません。*3

では、設計の段階で迷った場合はどうすればいいでしょう?
ここで考えるべきは、「その機能が本当に必要かどうか」です。
必要であれば、入れなければなりません。(入れなければ、欠陥のある設計ということになってします)
不要であれば、ばっさりと削ってしまいましょう。

厄介なのは、「必要ではないけど、あれば便利」というオマケ機能。自分の経験からいって、こうしたオマケの8割方は入れない方が正解です。 機能が増えると、設計が良くなったように錯覚しがちですが、後に拡張・修正を行う際にこうしたオマケ機能が思わぬ障害となることがあります。隙間が勿体無いからと近視眼的に機能を詰め込んだ結果、保守しにくい窮屈なシステムになってしまうのです。

隙間は、そこに何かを置くことができるというポテンシャル (可能性, 潜在能力) を持っています。必要な要件を満たしつつ、こうした隙間をできるだけ多く確保すること – 言い換えれば、環境の変化に柔軟に対応していけるだけの余裕のある設計を行うことこそがプロの技術と言えましょう。

*1 蓋し (けだし): 思うに
*2 ちゃんと、命題 1 の逆になっています。
*3 ちゃんと、命題 1 の対偶になっています。

担当: 成田 (眉間に皺を寄せる運動推進委員会)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

2 responses to “「無い」ことの豊かさ”

  1. yumeguri says:

    私のOSはWindowsXP そのos上で・・・
    ワープロソフトは、
     WX-WORD Ver1.10 (C)A.I.SOFT,INC. 1993,1994
    更に表計算ソフトは
     Lotus 1-2-3 Release 5.02J (C)1991-1999
    ※Excelがデファクトスタンダードに「なってしまった」ここ数年は
     初心者としての最低限のことは出来るようになったがWordは殆ど
     使えません(>_The original VisiCalc program that ran on the IBM PC in 1981 still
    > runs on today’s PCs.
    > You can download it to your PC and run it under Windows or DOS.
    > It is only 27,520 bytes long (smaller than many GIFs and JPGs on the web).
    あ”っ・・・決して懐古趣味では無いです

  2. 田崎 says:

    ワハー