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家電仕様の実際

Masato Kaneko

この記事は1年以上前に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。

私は夏休み前頃からエアコンの電源管理を自動化して室内の温度管理を人の手を介さずに行うというプロジェクトに取り組んでいます。
会社で利用しているのは一般的な家庭用エアコン (IT家電でないエアコン) で、そういった一般の家庭用エアコンを制御するためには、リモコンから送信される赤外線信号を別のデバイスを使って送信する、というアプローチで制御する必要があります。
今回そのために「赤外線学習リモコン」というものを使い、通常用いるリモコンから送信される赤外線信号を端末 (PC) 側で受信・学習させて制御するようにしました。
一度学習してしまえば今後は端末から同じ信号を送信することが出来ますので通常のリモコンと同じように家電を操作することが出来ます。

エアコンを制御するにあたってエアコンの仕様を少し調べたのですが、少し疑問が残る仕様になっていることが分かりました。
おそらくそれは会社のエアコンだけに限らず、他の一般的な家電製品にも該当すると思われます。
その仕様というのは、「エアコンの本体とリモコンで情報の同期を行っていない」というものです。
この仕様のどこか良くないかというと、本体で持っている設定温度とリモコンのディスプレイなどに表示される設定温度が必ずしも一致しているとは限らない、ということです。
例えばリモコン側の設定温度が 24 度になっているのに本体側が 27 度などの値に設定されていると、リモコンの設定温度は低いのに部屋の温度はなかなか下がらない、といったことを引き起こす可能性があります。
これは最悪の場合エアコンのついている部屋で熱中症などを引き起こす可能性もあるので、非常に良くない事だと思います。
そんなことはまず起こらないから大丈夫なんじゃないかとお思いの方もいるかもしれませんが、何らかの原因でリモコンが送信した信号が本体に届かなかった、ということは可能性としては十分有り得るので本体とリモコンで設定温度が違うということはないとも言いきれないかと思います。

この仕様による問題ですが、解決するための方法はいくつかあります。
まず根本的な解決策は、本体とリモコンで情報を同期する仕組みを作ることです。
これは根本的な解決になりますが、本体とエアコンの間で送受信する信号の数が増えてしまうので、もしかしたら現在のリモコンの仕様では難しいかもしれません。
他に解決する方法は、本体側にコンソールなどの表示部分をつける、ということです。
そうすれば本体とリモコンで情報を同期せずとも、人が本体のディスプレイなどで本体側の設定温度を確認出来るわけですから、本体とリモコンとで設定温度に差がある場合は手動で同期させることも出来るようになります。
上記の方法で解決できる問題ではありますが、どちらにせよこれらはエアコン本体やリモコンを製造する段階から変更を加えないといけないので、エアコンを利用する「ユーザー」の立場からするとどうしようもないのが現状です。

会社で行っている温度管理自動化プロジェクトの方では、エアコンを制御するのに高機能な温度計を使って現在の部屋の温度をネットワーク越しに取得し、それを監視しながらエアコン本体の電源を制御する仕組みにしてあるので、先ほど挙げたようなエアコンのついている部屋で熱中症になってしまう、といったことは避けられるのではないでしょうか。
このようにユーザー側はエアコン以外のデバイスで常時部屋の温度を監視するようにしないと、問題を解決することは出来ません。
またこの方法は根本的な解決にはなっておらず、あくまで一時しのぎな解決策です。
ですがユーザー側である私たちはこれくらいのことしか出来ないのが現状です。

最後に、私と同じ意見をお持ちの方がいらっしゃったので、その方のブログ記事の URL を紹介します。

この様なあまり目立たない仕様の問題点を指摘することによって、近い将来に家電製品の仕様が修正されれば良いなと思います。

担当: 金子
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2 responses to “家電仕様の実際”

  1. siono says:

    エアコンがリモコンの信号を受信すると音でフィードバックがあると思いますが、それをマイクで拾ってACKとするというのはどうでしょうか?かなり力技ではありますが。。
    リモコンとエアコン本体で同期するためには双方向で通信する必要があると思うので、赤外線みたいな指向性の強いものでは使い勝手が悪いかもしれませんね。ZigBeeやBluetoothをリモコン用に標準化して使おうという動きもあるようなので、そういうものならおそらく簡単に同期できるようになってるんではないでしょうか。
    さらば赤外線?:リモコンの無線化(RF)を進める2つの技術 (1/2) – ITmedia +D LifeStyle
    http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0807/28/news072.html

  2. kaneko says:

    コメントありがとうございます。
    やはり現在使っている家電製品はそのままにエアコンの状態を取得するには力技でやるしかないんですよね。。設定温度の情報とは違いますが、電源状態を取得するのに本体の LED がついているか/いないかを光センサーで判定しているという人も見かけました。また動作モードの取得で、エアコンの羽の動きをチェックして判定するという方法をとっている人もいるようです。
    新しい規格が家電に普及するなどしてこのような問題が起こらないようになることを願っています。。有用な情報ありがとうございました。