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アメリカの診療システム~mid-level provider~

meguro

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今日はアメリカの診療システムについて、医師以外の診療師”mid-level provider”に属するNPという医療職を紹介したいと思います。アメリカには、医師以外にも高度の技術を持ち、独立して患者を診ることのできる医療職が存在し、その職名を”mid-level provider”と呼ばれています。この中には、NP(ナースプラクティショナー)・助産師・PA・麻酔看護師、などが含まれています。大抵は医師の監視下で、もしくは医師と協力しあいながら、薬を処方したり、診療をしたりします。その他に”mid-level provider”には属さないCNS(専門看護師)や診療師の下に位置するRN(看護師)、LPN(準看護師)というメディカルアシスタントという職もあります。

“mid-level provider”の中のNP(ナースプラクティショナー)は、アメリカ全土で約14万人います。主な専門分野は、小児、成人といった患者の年齢層や、病棟か外来かといった診療場所によって区分されていて、一番多いのがファミリー科です。ファミリー科では、約6割のNPが占めていて、州ごとの免許制により1~3年ごとに更新が必要となります。

医師とNPの関係は、州ごとにことなりますが全50州のうち1割弱の州では医師の監督下で、4割の州では医師の協力の下で、あとの5割では医師から独立して診療行為を行えます。実施できる医療範囲などは医療機関や個々のケースに任されています。例えば救急現場では看護師が※トリアージした上で、軽症患者はNPが診て、重症患者は医師が診るといったところもあります。

アメリカで初めて行われたNP教育は1965年。その理由は、深刻な医師不足にあったそうです。最初は反対の声も多かったようですが、NP養成が始まるとNPの行った医療の質が医師と同等であることや、NPが早期介入することで術後の合併症が減り、入院日数が短縮するといった導入の効果が次々発表されたそうです。

アメリカではもう、46年も前から医師不足という問題に直面し日本とは違う医療システムが確立していたのです。医師をサポートする上でも重要なポジションで、看護師よりも医師に近い仕事が行えます。日本にも、こういった医療改革が必要に思われます。

※トリアージ:災害時発生現場等において多数の傷病者が同時に発生した場合、傷病者の緊急度や重症度に応じて適切な処置や搬送をおこなうために傷病者の治療優先順位を決定すること。

担当: 目黒
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