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フラクタル

watanabe

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単純そうに見えて複雑なものってたくさんありますよね。ライフゲームなんかは、単純なライフサイクルをもつものの、初期状態に依って非常に複雑な振る舞いをします。逆もまた然りで、複雑に見えて単純なものもあります。

フラクタルという言葉をご存知でしょうか。フラクタルとは幾何学の概念で図形の部分と全体が自己相似になっているものです。有名なもので云えば、コッホ曲線やマンデルブロ集合がそうです。私はその図形の美しさからすっかりフラクタルの虜になってしまいました。
フラクタルは自然界によく見受けられます。例えば、雲、地形、木、シダの葉、血管の分岐構造に至ってもそうです。ブロッコリーなんかはもろです。

一見複雑そうに見える図形ですが、コルモゴロフ複雑性(あるデータ列を表すのにどれだけ複雑か、或は単純に表せるか)の非常に小さい、つまり簡単に表現できる図形なのです。

また、これを利用した情報圧縮もあります。信号の自己相似性つまり、信号の一部と他の部分が相似していることを利用して圧縮します。計算量は多くなるものの、1/100の高圧縮でも画質を高く維持できるという特徴を持っています。このように、フラクタルという性質はプログラマにとって興味深いものでもあります。

そして、フラクタルはカオスの世界にも繋がります。先ほどのコルモゴロフ複雑性は情報がランダムであるほど高くなるので、カオスとは何かを考えるのに重要であると示唆されています。
さて、この現実世界(なにをもって現実と定義するんでしょうね)の状態は無秩序でしょうか、秩序でしょうか。
そう、宇宙―コスモス―秩序だっている―と私も思います。

「もしあなたが幼い頃にもっていた素朴な目を失いたくなかったらこの本を読まないほうがよい。この本を読んでしまったら、世の中の全てのものはきわめてわずかのパラメータで記述できてしまうことがわかってしまいもうもとには戻れなくなってしまう。」
(Fractals Everywhere(Academic Press)のまえがきより)

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