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【印刷デザインの知識(1)】トンボで切る!

kojima

この記事は1年以上前に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。

家のプリンタや会社のレーザープリンタでは出せないクオリティのものって身近に結構ありますよね。

美しい写真やモデルをバシッと起用したブランドのパンフレットや雑誌、ポスターなどは印刷会社に依頼する必要があります。こういった質の高いものを作ろうとすると制作会社やデザイナーに依頼したり、写真家やモデル・延いては良い紙を使ったりと何かと費用がかかります。しかし、そういった経緯を経てできたものというものは「お金をかけて作っていますよ、資金がありますよ、質の高い商品を作っていますよ」というメッセージにもなり、信頼感や高級感などに繋がり”きちんとした”会社だということを伝えることができるメリットがあります。

今回から、印刷デザインの知識をちょっとでも多くの人に伝えたいと思います。

私の専門は印刷物のデザインです。今はwebやスマホアプリのデザインもおこないますが、元々は印刷専門のデザイン事務所に勤め、クライアント企業のパンフレットやポスター、売り場のツール等々を制作していました。

仕事の中で感じた、印刷デザインの面白い特徴のひとつだなと思う「トンボ」について紹介します。

【トンボってなに?】

トンボと言われてもピンとこない方がほとんどだと思います。
虫のトンボではないですし、グラウンドを整地するものでもありません。

トンボ

↑印刷物のトンボはこんな姿をしています。
グレーの部分が印刷の原稿と考えて頂くと、その周囲にちょんちょんとついている線たちです。印刷物に虫のトンボがとまったみたいですよね。

このトンボは、一般の方の手元に届くころにはなくなってしまうものです。
それはなぜか?

印刷物の原稿を作った人と印刷所の間で交わされるメッセージのようなものだからです。
印刷所に入稿する際に「ここまでが印刷範囲なので、ここで切ってください」と知らせるための印なのです。

【そもそも何で必要なの?】
家庭用プリンタには「フチ無し印刷」というものがありますよね。
しかし、印刷所はちょっと勝手が違います。

出来上がり予定のサイズよりも大きな紙に印刷し、出来上がりのサイズにするため周囲を裁断するのです。
この裁断作業で活躍するのがこの「トンボ」。印刷物の角についている「角トンボ」といわれる、L字が二重になったものがあります。
両側の角トンボの内側の線を結んだ部分を裁断します。

裁断

すると、インクのはみ出しで機械や次の印刷物が汚れることもないですし、書籍などの場合、断面を美しい出来上がりにすることが可能です。デザインも裁断範囲よりも少し大きめに作るので(※1)紙の白い余白が入る心配もありません。
↓ちなみに裁断機はこんな感じです。
トンボ

【枠線ではダメなの?】
例えば、トンボの代わりに枠線を付ければいいのではないか?という声が聞こえて来そうです。
では、枠線に変えてみたとしましょう。
ぬりたし

水色の部分が出来上がりサイズ。黒い枠線は裁断位置です。何か工作した時に、線を引いてその上をハサミで切ってみることを想像してみてください。
枠がどんなに細くて薄い線だとしても、裁断した場合に出来上がりのデザインに枠線が残ってしまう可能性がありますよね。美しさにマイナスです。
トンボの優れている点は、裁断時に出来上がり範囲に枠線などの余計な要素が入らないという素晴らしい利点があるのです。

(※1)塗り足しについて
デザインも裁断範囲よりも少し大きめに作ることについての補足です。大きく作った部分を「塗り足し」と呼びます。
天地上下プラス3mmずつ「塗り足し」を設けるというのが、印刷所に出す時に必ずチェックされる部分ですので、
注意してみてください。3mmというと二重L字の凹みの部分にフィットするように出来ているので、なんて優れた機能美なんだろうと感動します。
塗り足し
水色の部分が塗り足しの範囲になります。今は出来上がりの部分(グレー)と色を分けていますが、本来ならば、出来上がり範囲のデザインから地続きになるようにします。

↓実際はこんな感じになります。
実際

このトンボですが、もしかすると牛乳パックや紙パックのジュースを折り畳んだ時や開いたときに出会えるかもしれません。
探してみてください。
まだまだトンボについては話が尽きないので、次回も書きたいと思います。

担当:小嶋(そういえば今はちょうど秋でトンボが飛んでますね。会津の秋は一瞬です。)

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