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HTML5 Conferenceにボランティアスタッフとして参加してきました

yahata

この記事は1年以上前に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。

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HTML5 Conference

こんにちは、八幡です。

先日、東京電機大学 千住キャンパスで開催されたHTML5 Conferenceというイベントに個人的に参加してきました。
HTML5 Conferenceは、HTML5関連技術などの最新トレンド情報が一堂に会する、日本最大規模のHTML5の祭典です。一般の募集人数はなんと1,200名!web技術に興味を持つ人々がこれだけ一気に集まる機会はそうそう無いでしょう。

今回は一般参加でなくボランティアスタッフとして参加してきたので、その視点からのレポートを書いていきたいと思います。

1. 展示ブース

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展示ブース情報

自分が担当したのは展示ブースのスタッフ。当日の展示ブースには「Web of Things」をテーマとした展示が数多く並び賑わいました。その中でも特に参加者の目を引いていたのは、やはりPepperとFx0でしょう。

PepperとFx0

Pepperは、SoftBankから2015年2月に一般発売が開始されるパーソナルロボットです。Pepperの最大の特長は世界初の感情認識パーソナルロボットであるという点です。今回の展示では、HTML5技術を利用してPepperを制御するデモが行われていました。また、Pepperはweb APIとの連携も可能ということで、「ロボット」というインターフェースを通してwebサービスを提供するという新しいモデルは今後ますます増えていくことでしょう。

Fx0は、KDDIから発売されている世界初のFirefox OS搭載スマートフォンです。Firefox OSは、Gecko(Firefoxのレンダリングエンジン)が専用Linuxディストリビューションの上で動作するという構成になっており、Geckoを通して様々なOS機能へのアクセスができるようになっています。これはすなわち、HTML5技術でネイティブアプリを開発できるどころか、HTML5技術がネイティブになってしまったというわけですね。

他にも企業だけでなくグループや個人で参加している方々もいらっしゃって、なかなか見応えのある空間でした。

WoTによって現実とwebの境界は曖昧になっていく

ところで、展示ブースの中で個人的に最もアツいと感じたのは、「JS board 勉強会」の村岡正和さんが展示していたSparkというマイコンボードです。

Sparkは一つ一つがWi-Fi経由でサーバーとつながっており、サーバーはこのSparkを操作するためのREST APIを提供しています。そのため、アプリケーション側はSparkの物理的な位置を全く気にすることなく、REST APIを介してSparkのpinにアクセスすることができるのです。

こうして一つ一つのデバイスの物理的な関係性は曖昧になり、代わって論理的な関係性が現実を支配するようになります。このカタチは、今後のWoTの世界において重要なアーキテクチャとなっていくことでしょう。

2. セッション

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セッション一覧

自分は展示ブースのスタッフをしていたため、セッションの方はほとんどまわりませんでしたが、ひとつだけどうしても聞きたかったセッションを聴講してきました。

「Open Web Platform推進に、日本の Web Developerはどう関わっていくか」

このセッションは、開発者コミュニティ・ブラウザベンダ・W3Cそれぞれの立場で活躍しているエキスパートが集まり、「Open Web Platform推進に、日本の Web Developerはどう関わっていくか」というテーマについてディスカッションを行う形式のセッションでした。

スピーカーの方々

  • ダニエル・デイビスさん(W3C/Keio)
  • 及川卓也さん(Google)
  • 矢倉眞隆さん(myakura)
  • 小松健作さん(NTTコミュニケーションズ)

現在、W3C(World Wide Web Consortium)ではOpen Web Platformと呼ばれるweb標準のオープン化を推進しています。2014年10月28日には、ついにHTML5が勧告となりました。HTML5の勧告によって様々な機能が各プラットフォームで統一的に利用できるようになり、より自由なアプリケーション開発がweb上で可能となっていきます。

もちろんHTML5が勧告されたからといって終わりではありません。Open Web Platform推進における課題の一つは、仕様策定のスピードです。

今日のweb技術利用は爆発的に多様化してきており、スペックライター側が全てを主導するというスタイルを維持するは非常に困難になってきました。そこで重要となるのが、ユーザー(デベロッパー)によるフィードバックをいかに仕様に取り入れていくかということです。

仕様策定の課題から生まれた、Web Components

もちろん、これまでユーザーフィードバックを仕様に取り入れるという動きがなかったわけではありません。例えばdocument.selectorAllでおなじみのSelector APIは、元々はjQueryセレクタのAPIから仕様にフィードバックされたものです。このようなフィードバックループをより加速していくために推進されているのが、Web Componentsと呼ばれる技術です。

Web Componentsは、デベロッパーが自由にHTML要素を独自定義・利用できるようにするための仕様の総称で、Custom Elements, Shadow DOM, HTML Importsといった個別の仕様から成り立っています。各仕様の詳しい内容については、手前味噌ながら個人ブログでまとめ記事を書いておりますので、興味のある方は読んでいただければと思います。

さて、Web Componentsの仕様は比較的低レイヤーなAPIだけを提供しており、その上でどのようなHTML要素を定義するかは完全にデベロッパーの自由となっています。つまり、仕様側では低レイヤーなAPIだけをカッチリ決めて標準化し、デベロッパーが独自に欲しい機能を自由に開発できるようにします。その上で、先述のjQueryセレクタのように広く需要が認められた機能だけをブラウザネイティブで実装していこうというわけなのです。こうすれば需要の無いAPIのためにスペックライターやブラウザベンダーが多大な労力をかけてしまうリスクも減り、本当に需要のあるAPIをスピーディーに仕様策定・実装していくことが可能となります。

具体的に何をすれば良いの?

というわけで、Open Web Platformに我々デベロッパーが関わっていくためには、Web Componentsのようなエッジ技術を積極的に利用してフィードバックを発信することがとても重要なのです。発信の手段は、直接スペックライターにメールを送るのも良いですが、仕様に対するテストコードを書いたり(w3c/web-platform-tests)、単にブログやSNSでハッシュタグ付きの投稿を流すだけでも大丈夫ということです。まずはハードルの低いところから始めてみるのが良いでしょう。

3. まとめ

今回は展示ブースのスタッフをしていたということでほとんどセッションをまわらなかったのですが、ずっと展示ブースにいた事で結果として多くの「Web of Things」とユーザーの反応に触れることができたため、非常に貴重な体験ができたと感じます。HTML5 Conferenceスタッフおよび出展者の皆様、本当におつかれさまでした。

HTML5 Conferenceの資料は、下記URLにてまとめられていますので、ぜひご覧になってみてください。時間の無い方は、基調講演だけでも。

HTML5 Conference 2015 講演資料まとめ #html5j | Time to live forever

4. 参考資料

担当:八幡(楽しかった!)

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