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【工場見学】レトロ印刷工場へ行ってきました!

kojima

この記事は1年以上前に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。

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こんにちは、デザイナーの小嶋です。
夜行バスに揺られ、片道約12時間。大阪は梅田に到着。
今ではめずらしくなってしまったレトロな印刷を扱う「レトロ印刷 JAM」さんの工場見学に参加してきました!(実は私、印刷系のデザイナーなんです!今はwebもアプリもなんでもやりますが…)

【レトロ印刷~それはまるで現代の版画!~】

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“レトロ印刷とは、孔版印刷を利用した、一種のスクリーン印刷です。従来のフルカラー印刷とは根本的に考え方も違い、入稿データの作り方や印刷の原理も、シルクスクリーンや版画に近い作り方です。
そのため、ランダムに版ズレが起やインクの色ムラ、カスれが起こりますが、印刷の風合いもとても昔っぽく、雰囲気のあるモノに仕上げてくれます。”

出典:レトロ印刷工場 JAM

もっと見る←レトロ印刷について分かりやすく載っているよ!

「印刷と遊ぶ。印刷で遊ぶ。」がテーマというだけあってクリエイターよだれものの変わった印刷ばかり!手作り感や風合い、味みたいなものを出せるのは、ものづくりをする人にとってはとても重要です。目に楽しいだけでなく、手に取った時に印刷物の肌触りが違うだけで「伝わる」ことも増えます。ここはそういったこだわりを、「かたち」にできる素晴らしい場所だとおもいました!ぜひ利用したい!


【印刷工場ピクニック】

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この工場見学ですが、「印刷工場ピクニック」というJAMさんが主催しているイベントの一部として開催しています。
このイベントではイラストレーターさんなどが制作した紙モノや布モノの素敵なグッズの販売イベント+工場見学+ワークショップ+飲食ブースもありみたいなイベントでした。
女性がいっぱいです!男性もちらほら見かけますが、ほぼ会場の9割は女性といっても良いくらいです。みなさんかわいいものには目がないですね。真剣にグッズ選んだりワークショップを楽しんだりしていました。



【いざレトロ印刷工場見学へ】

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見学スタートです。ちゃんと案内の人がついて30~50分ほどの行程。見学料は500円(お土産がつきます!)でした!
工場見学もほとんどが若い女性。レトロ印刷、アツいですね!
各回10人ずつという限られた人数で催行されます。青い服のスタッフさんが案内をしてくれます。

【1】印刷の種類を学ぶ / データチェックの現場
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[左] まずは、レトロな印刷ってなんだろう?ということで平版・凸版・凹版・孔版それぞれの特徴など全般的なお話をききました。
JAMさんでは孔版印刷と言われる分野をメインであつかっています。
印刷の種類としくみについて←詳しく知りたい方はこちら。

[右] データチェックの現場です。お客様の入稿データが印刷に適しているかチェックします。印刷所のスタッフの方は7割が女性なんだそうです。紙って重なるとすごく重いので結構重労働な部分もあると思うんです。びっくり。
裁断や梱包などもこちらのスペースで行われているようです。

【2】孔版印刷機「リソグラフ」
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[左] これは孔版印刷機「リソグラフ」。レトロ印刷はこの機械で生み出されています。
版に孔をあけインクを通して印刷する方式で、プリントゴッコをイメージするとわかりやすいかもしれません。

[右] 今は2種類のインクが入っています。(黒・紫)1色から多色まで様々な色の組み合わせができます。刷る順序や、インクの色の組み合わせで、想像していなかった表現に。刷ってみないとわからない面白さがあるそうです。

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また何度も何枚も刷ると、版がズレ(写真上右:ペラっとはがしている薄い紙のようなものが「版」です)インクが重なり、それがまたレトロな表現につながるそうで、これがいい味だしていて可愛いのです。左の写真でインクが重なりあっているのが見れるかと思います。これが「版がズレる」です。古い印刷物でよく見かけますよね。



【3】立体レトロ印刷「ツヤプリ」
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レトロ印刷の味わいをそのままにぷっくりツヤっと立体的に仕上げるバーコ印刷、通称「ツヤプリ印刷」と呼んでいるそうです。加工を施した部分は少し立体的になり、ツヤっと輝き印象をぐっと引き上げてくれます。
全長5~8mくらいあるようなちょっと長い印刷機です。印刷する部分、ツヤプリインクを乗せる部分、乾かす部分(多分)にわかれているようです。実演してもらい、流れをパシャパシャ撮りました。だんだんとインクが乗っていくのがわかります。
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左の写真、インクが乗った部分に厚みが出てツヤツヤしてるのがおわかりいただけるでしょうか?
こちらお土産に印刷したものをいただけました!素敵!






【3】紙・綴じ専門のミシン / 製本機

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[左] 布ではなく紙用のミシンです。背表紙を綴じるために使います。家庭用ミシンでも紙を縫うことはできますが、何枚も重ねた紙を縫えるのはこの工業ミシンだからこそ!上糸と下糸に好きな2色を選べるので、作品に合わせたカラーを使って雰囲気を出せますね。

[右] この製本機は、印刷したものを本のように束ね、のり付けをして背表紙をつけてくれます。文庫本の小説などの処理でよく見かけるのではないでしょうか。処理速度は180冊/時で、くるみ製本、テープ製本、天のり製本の3種類の製本が可能です。

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それぞれの仕上がりは左の写真のような感じです。上がミシン綴じ。下が製本機で綴じたもの。
今度JAMさんでは、架空の雑誌の架空の頁を「綴じる」展覧会!
その名も「とじてん」を開催するそうです。すごくニッチですが、創作活動をしている方にはたまらないですね。



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さぁ、ここからが本領発揮。すごーくレトロです。
染み付いたインクの匂いがムンムンして、タイムスリップしたような気持ちにさせてくれます。



【4】活版印刷の「活字」
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活版印刷は凸版印刷の一部で、文字ひとつひとつが別々のハンコのような「活字」といわれる金属のブロックになっていて、これを文章になるよう並べて版をつくります。写真はその「活字」です。活字の一段高くなっている部分にインクを付け、紙をのせ上から圧力をかけて紙にインクを転写することで印刷されます。
お土産に「No.」(ナンバー)にあたる活字をいただきました!当時実際に使われていたもので、これは貴重です!



【5】ドイツ生まれの活版印刷機「ハイデルベルグ」
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こちらは100年以上前のドイツで開発されヒットをとばした活版印刷機「ハイデルベルグ」です。もう印刷博物館にあるような貴重な代物です。【4】で出てきた活字をセットし印刷します。今は職人さんがいないと動かせないそうで、残念ながら職人さんがいないそうです…。実際動いてるのが見たかったですが動画で見せていただくことができました。すごく不思議な「人間のような」動きをします!youtubeにその動画がありました。

[youtube]http://youtu.be/lN8VfoKhlUU[/youtube]




【7】最後は「伝票印刷」
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全然写真に収まりきりません!全長10m…いや20mくらいあるのでは?というくらい長い長い機械。部屋の端から端まであります。
これで何が印刷できるかというと、「伝票」です。皆さんも多分、宅急便とかで使ったことあると思います。カーボンが挟まっていて、下に転写できるというものです。3種類の紙を重ねて印刷でき、出来上がりは|上紙(書く部分)|カーボン|下紙(写る部分)|となります。
こんな巨大な機械でできていたんですね!
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こちらがその伝票用の紙です。こちらもお土産にいただきました!トイレットペーパーみたいに見えますが、とっても大きいですよ。




お疲れ様でした!
JAMさん本当にありがとうございます。iPhoneではなくもっと良いカメラ持っていけばよかった〜とちょっと後悔しつつ、大満足な工場見学でした。
皆様も、ぜひ印刷の奥深い世界に足を踏み込んでみませんか?



【レトロ印刷 JAM】

〒531-0072 大阪府大阪市北区豊崎6丁目6−23
http://jam-p.com
直接入稿やワークショップもおこなっています。

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