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サービスデザインワークショップ~Living Anywhere(若者たちと全く新しい地方創生を考える)~開催レポート1日目

Misato Usui

この記事は1年以上前に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。

会津大学(以下:会津大)及び東北大学(以下:東北大)のIEEE Student Branchは、東北エリアの大学間交流の促進と互いの技術・学術スキルの向上を目的として11月19日(土)〜20日(日)の二日間に渡り、サービスデザインを用いて地域の課題を考えるワークショップを開催しました。

株式会社Eyes, JAPANは地域のICT企業としてこちらの企画に協賛し、ワークショップの運営及びファシリテーションを務めています。

また、会場は同じく協賛企業として参加した株式会社toor様に古民家を改装した同社オフィスをご提供いただきました。

日時:2016年11月19日(土)〜20日(日)
場所:株式会社toor 本社 福島県大沼郡三島町早戸居平541
主催:会津大学・東北大学 IEEE Student Branch
協賛:株式会社toor, 株式会社Eyes, JAPAN

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会場となった株式会社toor 本社オフィス(清匠庵)

 

超高齢化社会が加速する地方にとって人口減少、特に「若者の地域離れ」は大きな課題となっています。しかし、実際に地域の声に耳を傾けると見えてくるのは、人口減少に伴う行政サービスの低下や医療、教育、交通などの社会インフラの不足が住民の生活に暗い影を落としているという現状です。

地域おこし協力隊など、若者を地域に呼び込む取り組みは各地で実施されていますが、働き口がないために「町に残りたい」という意志はあっても委嘱期間を過ぎると町を出なければならない。
そしてまた、「働き口がない」という声には「選ばなければ仕事はあっても、自分のスキルを活かせない」「充分な収入を得られない」などの隠れたインサイトも含まれているのではないでしょうか。

 

今回のワークショップのテーマには孫 泰藏氏(Mistletoe株式会社 代表取締役)が提唱する”Living Anywhere“というコンセプトを取り入れました。

場所にとらわれない社会インフラを実現することで「もっと自由に、何の条件も制約もなく、好きなところに住める社会を」という全く新しい生き方を提案する”Living Anywhere”。

今回のワークショップでは、地方創生にこの”Living Anywhere”という新しい視点を取り入れ、定住人口ではなく交流人口を増やし場所にとらわれない生き方、仕事、教育、生活などを実現するためのアイデア発想を目指しました。

 

■ サービスデザインの紹介

まず、ワークショップのイントロダクションとして、サービスデザインが研究されるようになった背景や、サービスデザイン特有のプロセスや視点について説明しました。

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サービスデザインが研究されるようになった背景について説明しています。

現在のように工業が発展する以前は、機能的価値(自動車であれば安全に乗れること)を提供するだけでしたが、機能的価値が提供されることが当たり前になった現在では単一の製品や技術だけでは他との差別化を図ることが困難になりました。
そのため、サービスは『そのサービスを通じて生活者がどんな感動を得られるか』というような体験価値に重点が置かれるようになります。

また、パソコンやスマートフォンなどの通信機器の普及によって、従来に比べて提供されるサービスが複数の異なるタッチポイント(顧客とサービスの接点)を持つようになりました。

このような複雑化した現代のサービスを包括的に設計するために生まれたのが、サービスデザインという研究分野で、生活者が感じる”体験価値”を重視し、ユーザーが個々のタッチポイントを違和感なく体験できるようにサービス全体を包括的にデザインしていくことを目的としています。

 

■ ディスカッション、地域課題の共有

今回のワークショップには会津大・東北大の学生11名の他、三島町、南相馬市、昭和村、旧山都町、坂下町、岩手県大船渡市など県内外各地から計22名の方に参加いただきました。

各地域から参加していただいた方にはそれぞれの地域が抱える問題を教えていただきました。他の参加者は発表者のリアルな声に耳を傾けます。

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それぞれの地域が抱える問題を発表していただきました。
 

■ アイデア発想

ワークショップは様々な手法を用いてアイデアを量産するところから始めました。

今回は「場所にとらわれない生き方、仕事、教育、生活…etcを実現するための新しいサービスを考えよう!」をテーマにサービスアイデアを考えていきます。

 

(1)ある日の1日

「ある日の1日」とは生活者の1日を時系列で書き出すことで、現状の理解と普段は気が付かない課題の発見に役立ちます。

参加者のみなさんには「場所にとらわれない生き方をするためにはどうしたら良いか?」という問を常に念頭に置きながら自分の1日を振り返ってもらいました。

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ある日の1日シートを使って自分の生活を振り返りました。
 

また、場所にとらわれない働き方の例としてEyes, JAPANで実際に取り組んでいるリモートワークについても紹介しました。

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新潟からリモートで働くスタッフにリモートワークについてインタビューしています。
 

(2)マンダラート

マンダラートとはテーマから連想する単語を8つ、さらにその8つの単語から連想する単語を8つずつ出していくことで一気に72個のアイデアのヒントを生み出すことができるツールです。

場所にとらわれない・自由」というテーマからできるだけ多くの単語を連想してもらいました。

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なかなかマスが埋まらず苦労しているようです。
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どんな単語が出たか発表してもらいました。
 

(3)ペアブレスト&フリートーク

2つの個人ワークが終わったところで、ペアになって3分×5セットのペアブレストを行いました。
「ある日の1日」と「マンダラート」を持って、思い付いたアイデアを自由に話します。自分のアイデアを他の人と共有することで、アイデアの発展を目指します。

また、この時点でなにもアイデアが浮かんでいなくても、創造的な話し合いを楽しむことを重視してもらいました。

5セットのペアブレストが終わった後は、話せなかった人やもう一度話してみたい人と話せるフリートークタイムも設けました。

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輪になってペアブレスト。1セット3分では物足りない様子。
 

(4)アイデア・スケッチ

アイデア発想の最終ワークでは、これまでの個人ワークとペアブレストで思いついたアイデアを1枚のアイデア・スケッチにまとめました。

ペアブレストやフリートークでは様々なアイデアに刺激され、どんどん楽しいアイデアが生まれていたようで、会場の熱も急上昇。どんなアイデアにまとまるのか楽しみです。

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「リモート会議で共有しずらい手書きの文字を簡単に共有できるアイデア」(例)
 
 

■ アイデア選定

アイデア・スケッチが書き終わったら全員のスケッチをテーブルに並べて、色シールで投票をしていきます。

今回は、3色のシールを用いて以下の基準で投票しました。

(黄色)うまく行きそうなもの
(赤) ワクワクするもの
(緑) 革新的なもの

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アイデア・スケッチをじっくり読みながら投票しています。
 
 

………………………

■ 夕食

投票が終わり、みなさん疲れ切ったところで、会場を早戸地区公民館に移して早めの夕食タイムとなりました。

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夕食は三島町の食材をふんだんに使用したキッチンMORyさんの手作りで、一気に場の空気が和みます。

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■ チームビルディング

スケジュールが押してしまったため、チームビルディングは夜の開催となりました。
投票で選ばれた上位5つのアイデアの発案者が発表します。

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他の参加者は、発表されたアイデアの中でJOINしたい!と思うところに移動します。

残念ながら選ばれなかった人も「自分のアイデアをここに託してみたい」「なんとなくアイデアが似ているから一緒にやってみたい」など、どんどん他のアイデアに乗っかっていきます。

………………………

 

チームビルディングが完了したところでワークショップ1日目は終了。

サービスデザインワークショップ~Living Anywhere(若者たちと全く新しい地方創生を考える)~開催レポート2日目に続きます。

(一部敬称略)

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