Eyes, JAPAN Blog > 早戸実習に参加して

早戸実習に参加して

Shota Oikawa

この記事は1年以上前に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。

8月が終わり少し肌寒さが感じられる今日この頃、皆さんいかがお過ごしでしょうか。私は絶賛筋肉痛です。

先日まで私は、東北芸術工科大学さんが毎年行っている施工実習に参加させていただいておりました。(今年で8年目だそうです、すごい!)

早戸は奥会津の三島町にある自然豊かな地域です(現在は住民の数が減っており、廃村が危惧されております)。早戸温泉つるの湯が有名で、施工作業後に入る温泉の気持ち良さは格別でした。

目次

  • 早戸の施工実習とは
  • 参加に至った経緯
  • 施工実習のスケジュール
  • 施工作業内容
  • 得られた知識
    • 杭の種類
    • 粗朶柵の作成
  • 感想
  • 最後に

早戸の施工実習とは

この早戸の施工実習は2010年から毎年、東北芸術工科大学さんが福島県三島町早戸区で行っているランドスケープや施工などの実習です。

つるの湯から山の中にかけてある遊歩道を整備するという形で、施工実習を行っております。

大学側で労働力の提供をし、代わりに宿泊施設をお借りして地域の活性化を図っており、双方にとって非常に良好な関係が築けていることに感銘を受けました。そのような背景があるため地域の方々との交流も深く、歓迎会や打ち上げで様々なお話が聞けて楽しかったです。先代からの積み重ねによって成り立っているこの実習は、今後もしっかりと繋いでいくべきだと感じました。

今年はこちらを主に施工しました(施工前の写真)。

そしてこちらが施工後の写真です!

山の地形が見て取れるようになり、景色に立体感が生まれた感じがします。草木によってもっさりと重みのある印象から一転して、茶色と緑のコントラストによってこの遊歩道をより歩きたくなるような印象を受けました。写真では見えにくいですが、積み石もすごくしっかり組まれているため安心して斜面を登っていくことができます。

参加に至った経緯

この早戸実習に他大学の学生も呼ぼうという話があり、東北芸術工科大学に通っている友人からお誘いを受けたことがきっかけです。友人からお誘いを受けた理由は、私が会津に住んでいるからだと思います(笑)。

美味しいお酒が飲めて、自然豊かな景色が見れるよと言われ、これは参加するしかないなと思い参加しました。(打ち上げで飲んだ日本酒は最高に美味しかったし、自然に囲まれての施工実習は得られるものが多くて参加して良かったです。)

施工実習のスケジュール

以下は今回の施工実習の大まかなスケジュールです

  • 8/30
    • 13:00 ~ 16:00 : 早戸到着、現地下見
    • 19:00 ~ 21:00 : 歓迎会
  • 8/31
    • 8:00 ~ 17:00 : 施工作業
  • 9/1
    • 8:00 ~ 17:00 : 施工作業
  • 9/2
    • 8:00 ~ 17:00 : 施工作業
    • 19:00 ~ 21:00 : 打ち上げ
  • 9/3
    • 8:00 ~ 11:00 : 現地確認、地域の方々へ施工箇所の説明
    • 帰宅

食事は学生たちで分担して作っていました。みんなで作り、食べるご飯は、やはり格別に美味しかったです。

施工作業内容

以下の施工作業を行いました。

  • 雑草や枝木などの剪定
  • 杉の枝や葉、雑草などの掃除
  • 埋込杭の設置
  • 粗朶柵の作成
  • 砕石の敷き詰め
  • 積み石
  • 昨年の施工箇所の修正

得られた知識

全部は書けないため、少しピックアップさせていただきます。

杭の種類

柵を作るために設置する杭には主に、打込杭と埋込杭があります。この杭がしっかりしていないと柵として機能しないため、丁寧に杭を設置することが重要となります。

  • 打込み杭
    • 杭の片方の先端が尖った形状が多い
    • 大きなハンマーなどで地面に打ち込んでいく
  • 埋込み杭
    • 杭の両端は平になっている
    • 埋め込む場所に、杭より2周りほど大きな穴を掘る
    • 杭を固定するように石を穴に入れ、石を上から押し込んでいく

今回は埋込み杭を採用していました。杭の周りが石で固められているため、人の力だけで杭を抜くのは不可能に思えるほどしっかりとしていました。ここでは杭の中心から900mm間隔で杭を埋め込みました。

 

穴を掘る時に何度も岩にあたり、取り出すのに苦労しました。埋め込みを行う際に、長めの丸太を使って石を上から押し固めていくのにもかなり筋肉を使ったため、夜はぐっすり眠れました(笑)。

粗朶柵の作成

粗朶柵という単語はこの実習に参加して初めて聞きました。粗朶というのは自然の山に繁殖している雑木の小さいものや枝のことで、葉を落として使います。葉を落とすのには剪定ばさみを使い、少し大きめの枝を切落すのには手ノコ(片手で使用できる小さいノコギリ)を使用しました。

粗朶を組んでいく際に気を付けなければならないことは、枝と枝の重なりが集中しないようにすることです。レンガは上下でずらしながら積んでありますよね。私はそれをイメージしながら粗朶を組んでいきました。枝と枝の重なりが集中するということは、それだけ重なりの少ないスカスカな部分ができてしまうということです(部分的な強度に差が生じてしまいます)。

写真のように杉の枝を組みました。湾曲している杉の枝を活かし、少し膨らんでいるような柵にしたことが面白いなと感じました。丁寧に葉や小枝の切り落としを行い、柵の奥までしっかりと敷き詰めたため頑丈に仕上がりました。丸みを帯びているため、力強くも優しさも兼ね備えた柵という印象を受けました。この粗朶柵もこの遊歩道の見どころだと思います。

感想

参加人数が31名で、そのうち26名が学生でした。知り合いが一人しかいなかったため不安でしたが、みなさん本当に良い方しかいなくて充実した5日間を過ごすことができました。初めの頃は、風土デザインをフードデザインだと勘違いしており、なんで食べ物のデザインの話を山の奥でしているのだろうかと思っておりました(笑)。

何も分からないため、ずっと周りの動きをよく観察しながら作業していました。そのため後半の方では道具の使い方や使い分け、力加減や体の運び方などのコツを掴むことが出来ました。良いお手本となる方が沢山いたため、短期間でも効率良く学ぶことができたんだなぁと実感しております。肉体的にしんどかったですが、自分の成長が感じられてとても楽しく、そして嬉しかったです。

普段起きている間はずっと座って作業しているため、この5日間で腰から上が全て筋肉痛になりました(笑)。こんなに気持ちの良い筋肉痛は久しぶりです、これから少しずつ体を鍛えていきます。

趣味で絵を描いているため、自然をよく観察すれば画力の向上につながると思っていたことが、早戸実習に参加した一番の理由です。実際に体を動かしてみると、そのもの構造がよく分かってくるので、とても勉強になりました。ですがもっと知識があれば、体を動かしたときに得られる情報量は更に増えると思うので、事前知識をつけることもやっていきたいなと思います。

この5日間で早戸にとても愛着が湧きましたので、たまに遊びに行こうと思います。この記事を読んでくださった方も是非、早戸に遊びに行ってみてはどうでしょうか!!!

最後に

最後に、5日間指導やアドバイスをくださった東北芸術工科大学  建築・環境デザイン学科 渡部桂様。風土形成事務所 廣瀬俊介様。上山温泉研究所 田賀陽介様。東北芸術工科大学 OB 阿部聡史様。東北芸術工科大学 OG 工藤まい様、道具や機材などを貸してくださった佐久間建設様、最高の時間と思い出をくださった東北芸術工科大学の学生の皆様、そして早戸地域の皆様。ここに感謝の意を表します。本当にありがとうございました!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Comments are closed.