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日本災害医療ロジスティクス研修にて避難所アセスメントシステムの実証実験に参画

Junichi Fujinuma

この記事は1年以上前に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。

10月20日〜23日に岩手県で開催された「第6回 日本災害医療ロジスティクス研修」にて、弊社で開発中のあるシステムの実証実験を行いましたのでその模様をお伝えします。

日本災害医療ロジスティクス研修とは?

災害発生時には様々な組織が医療支援のために被災地に集結して活動を行います。そして活動の際に重要となる要素の一つが「ロジスティクス」です。「いつ・どこで・何が必要とされているのか」といったことを、現場から集まってくる情報を統括本部で集約し、全体の状況を俯瞰した上で「どこに何を優先的に送り届けるのか」「どうすれば効率的に物資を送り届けられるのか」「状況がどの様に変化しているのか」といったことを分析し、的確な意思決定・指示出しをする事が鍵となる訳です。

この研修はそうした災害医療に関わる複数の組織を集め、組織の枠組みを超えた体制でロジスティクスをテーマに行う大規模な研修です。なお、運営事務局は岩手医科大学が務められています。詳細はこちら(岩手医科大学様ウェブサイト)をご覧ください。

画像:岩手医科大学様のウェブサイトより引用

移動範囲も大規模!

研修は4日間の日程で開催され、定員は60名ほど。事務局や協賛・後援の方々を含めると80名ほどはいらしたかと思います。驚かされたのは研修の移動範囲。岩手医科大学の矢巾キャンパスを統括本部とし、チーム分けされた参加者は久慈・宮古・大槌・釜石・大船渡それぞれのエリアに実際に向かいます。岩手県は本州で最も大きな県ですから、移動だけで何時間も掛かります。

本番さながらの研修風景

研修というと机上で済ませるものも少なくありませんが、本研修は人命に関わるものということもあり、本番さながらの研修が行われています。例えば「国道●●号線は寸断されており通行止め」「▲▲の建物は今にも倒壊しそうで避難者の誘導が必要」「携帯電話が通じないため衛星電話で連絡手段を構築」といった環境周りのシナリオが定められていたり、避難所ごとにも「避難者数」「衛生環境」「ライフライン」「有症状者」などのシナリオが細かく定められています。また、日や時間によって状況が変わることも研修に含まれています。

こうした多くの情報をもとに、統括本部にて様々なアクションプランを立て、現場にフィードバックするということを行うわけです。中には夜通し体制をとっているチームもあり、まさに本番さながらといった印象を受けました。

写真:矢巾キャンパスでの全体ブリーフィングの様子
写真:各種物資や医療機器の数々

新しいテクノロジーの活用も

研修ではドローンを使って避難所の映像を遠隔地に配信したり、救援物資を運搬するような取り組みも見られました。こちら(FNNプライム様)のニュースサイトに映像が掲載されております。この様に新しいテクノロジーを試してみて、実運用に耐えるのかを検証したり、関係者の意識を刺激することもこの研修の目的の一つと言えるでしょう。

画像:FNNプライム様ウェブサイトより引用

弊社開発の避難所アセスメントシステムも登場

弊社は避難所のアセスメント業務を支援するシステムの実証実験で参画させて頂きました。我々も開発を一緒に進めさせて頂いている大学病院の方々とともにチームを形成し、「矢巾にて全体取り纏めを行う班」「久慈・宮古でシステムの使用方法をファシリテートする班」「大船渡・釜石・大槌でファシリテートする班」に分かれて実証実験を行いました。

私(藤沼)は矢巾本部にて管理者向けの機能をご紹介し、有識者の方々と意見交換をさせて頂きました。既存のシステムに比べて良い点のほか、さらなる発展・改善が望める様な指摘も頂くことができました。また、各地域を回った者も現場ならではの感想を抱いたようです。以下、本実証実験に参加した弊社真水のコメントです。

大船渡・釜石・大槌の各地域に設けられた合計5か所の避難所を巡回し、現地で活動されているチームの方々に本システムの使用説明を行い、実際にタブレットを操作してデータを入力していただきました。本番と同じ緊迫した環境でのテストということもあり、開発段階では気付きにくい改善点など、災害対応現場での運用における貴重なご意見を得ることができました。また、遠く離れた地域の間を時間をかけて移動する中で、広範囲に点在する拠点の状態を把握し、生活環境や支援物資を適切に管理するための情報を集約する本システムの重要性を改めて実感しました。

写真:矢巾本部で有識者の方々やコンサル企業の方を交え意見交換をしている様子
奥のディスプレイ(左側)に弊社開発のアセスメントシステム(※)が表示されている

※スマートフォン等を用いて効率的なアセスメントを支援するシステム。東北大学病院様などと協力して開発中。

最後に

災害が起きないことが一番の理想ではありますが、現実はなかなかそうも言っていられません。この様な大規模な災害医療の研修に参加するのは初めてでしたが、こうした方々が常日頃から万が一の事態に備えて準備を整えてくださっているからこそ、我々が安心して生活できるのだなと改めて実感することができました。また、アセスメントシステムに関しても現場目線の貴重なご意見を頂くことができ、さらなる改善に弾みをつけられればと考えております。

弊社ではこうしたミッションクリティカルなシステムの開発も行っております。また、プロジェクト体制によってはPMO(プロジェクトマネジメント)や要件定義といった上流工程に参画することも可能です。なにかお困り事があればお気軽にお問い合わせ頂ければ幸いです。

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