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分子料理法に生命科学ロボット「OpenTrons」がチャレンジ! 第1回:プロジェクト概要編

unai

opentrons meets molecular gastronomy: eyecatch image


会津大学学部一年のアルバイトスタッフ、unaiです。はじめてブログを書かせていただきます。

私は大学に入るまでプログラミングの経験もコンピュータに関する知識も持っていませんでした。学部一年は大学の講義が多く、なかなかプログラミングの勉強に時間を割くことができないのですが、夏季休暇に入りまとまった時間が取りやすくなったので夏季休暇の間で取り組めそうなプロジェクトを先輩方に相談したところ、Pythonの勉強を兼ねてロボットの操作を行うことになりました。

また、単にロボットの操作を行うだけでは面白みがないと思い、Eyes, JAPANの研究分野の1つであるフードサイエンスの要素を取り入れたプロジェクトにすることにしました。概要としては「分子料理法(分子ガストロノミー)」とよばれる科学的調理法を用いて調味料をつくり、その工程をライフサイエンスの研究用ロボットである「OpenTrons」で自動化するというものです。

この記事ではOpenTronsおよび分子料理法の概要について書かせていただきます。今後、OpenTronsの操作方法や操作プログラムについても記事にしていく予定です。現状、OpenTronsに関しては日本語のマニュアルもほとんど見つからない状況ですので、OpenTronsをお使いの方のお役に立てれば嬉しいです。

OpenTronsとは?

OpenTronsとはアメリカのニューヨーク大学出身者が立ち上げたバイオテックのスタートアップ「OpenTrons(オープントロンズ)」が開発・販売しているオープンソースのピペッティングロボットです。ピペッティングを簡単に説明すると薬品などの液体をピペットを用いて移す行為のことです。実験や研究などで見たことがある方もいらっしゃるかと思います。

OpenTronsのロボット
OpenTrons公式サイトより引用

ピペッティングの作業を自動化することにより、省力化につながるのは勿論のこと、実験精度の向上にもつながると考えられます。また約4,000ドルという価格もこうした研究用ロボットとしては非常に安価であり、MIT Technology Reviewなどでも取り上げられています。

OpenTronsの動作模様は以下の動画をご覧ください。

The OT-2 Lab Robot from Opentrons Labworks on Vimeo.

OpenTronsは日本でも幾つかの専門商社が取り扱っているようですが、国内での具体的な活用事例は見つけることができませんでした。(ご存じの方がいらっしゃれば教えて頂ければ嬉しいです!)

OpenTronsの主な用途は遺伝子、医学、薬学分野の研究とされていますが、現在Eyes, JAPANでは分子料理法の研究にOpenTronsを利用しています。

分子レベルで調理する「分子料理法」とは?

分子料理法という言葉を聞いてすぐにイメージがつく人は決して多くないと思います。分子料理法とは主に科学的観点から形や風味、食感などを変える料理法です。詳しくは一緒にプロジェクトを行なっている弊社喜多見がわかりやすく記事を書かれているのでご覧ください。

未来の料理!?「分子ガストロノミー(分子美食学)」とは?

高級店で広まりつつある分子ガストロノミーによる料理

分子料理法で調理された料理を実際に食べることができるお店はあるのでしょうか。調べてみたところ東京や大阪の高級店を中心に分子料理法を取り入れているお店が広まりつつあるようです。

タパス モラキュラーバー(東京)
東京マンダリンオリエンタルホテルの38階にある8名限定のレストラン「タパス モラキュラーバー」はミシュラン1つ星を獲得したお店として知られています。店名に「molecular(分子)」が入っていることからも分子ガストロノミーをテーマにしたレストランであることが伺えます。

YouTubeでレビューをされている方の動画がありましたので載せさせていただきます。分子料理法を取り入れることにより、五感と想像力を刺激する料理が楽しめるようになっています。

このように、都心部の高級店を中心に分子ガストロノミーを取り入れた調理が広まっています。食を食だけで終わらせるのではなくエンターテイメントとして行うという新しい考えが広まってきています。

プロジェクトの目標

さて、プロジェクトの本題に入ります。まずはなるべくシンプルかつ日本らしいものから挑戦すべく、日本料理で皆さんも当たり前のように使っている「出汁(ダシ)」を球状に固める(球化)事を試みます。ちなみに、弊社では「出汁キャビア」なんて呼び方をしています。

分子ガストロノミーを用いて手動で作られた「出汁キャビア」
分子ガストロノミーを用いて手動で作られた「出汁キャビア」

なお「球化」の工程についても喜多見が記事を書いておりますので、詳細な説明はこちらを御覧ください。

分子料理法 − 球化 「出汁キャビア」

プロジェクトの目標

プロジェクトのゴールは、現在手動で行っている工程をOpenTronsにより自動化させたり、分子料理法を取り入れた際の新たな活用方法を見出すことです。また、冒頭でも触れたようにOpenTronsには日本語のドキュメントが不足しているため、ブログを通して操作マニュアルを載せ、OpenTronsを利用する日本人研究者の支援につながればと考えています。

私はこのプロジェクトでOpenTronsの動作を自動化させるプログラム(Pythonベース)の開発・改善を行う事になっております。Pythonに触れること自体が初めてで不安もたくさんありますが、頑張っていきます!

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