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Microsoftの無料RPAツール「Power Automate Desktop」を試しつつ「正しい業務改善の進め方」について述べる

Junichi Fujinuma

Microsoft Power Automate


藤沼です。今月始めにマイクロソフトがWindows 10ユーザを対象にRPA(業務自動化)ツール「Power Automate Desktop」の無償提供を開始しました。早速すこしだけ触ってみましたが、個人ユーザや小規模な組織がRPAを試すには良さそうなツールでしたので簡単にご紹介します。また、「正しい業務改善の進め方」について私なりの考えをご紹介します。

Power Automate

「Power Automate」は「Microsoft flow」の後継にあたるRPAツールであり、従来は主に組織アカウントを有する法人ユーザを対象に提供されていました。今回の「Power Automate Desktop」はその一部の機能を制限し、主に個人ユーザを対象に提供されているものです。無償版・有償版の比較はこちらのMS公式ドキュメント(英語)をご参照ください。分かりやすいところでいうと、無償版の場合、処理の実行開始のトリガは手動で行う必要があります。

ダウンロードとセットアップ

「Power Automate Desktop」のダウンロードはMS公式のこちらのサイトから可能です。インストールは画面に従って進むだけですので詳細は割愛します。なお、個人ユーザを主な対象としていることもあり、Windows 10 Homeユーザでも利用可能です。

Power Automateインストール

ブラウザ拡張機能のインストールもお忘れなく

ブラウザ操作の自動化には、ブラウザ拡張機能(Extension)のインストールが必要です。

Power Automateブラウザ拡張
MS Edge用Power Automate拡張機能
Chrome, Firefox用も存在する(クリックで拡大)

操作はドラッグ&ドロップで直感的

さっそく使ってみましょう。なお利用開始にはMicrosoftアカウントが必要です。Office365ユーザであればそのアカウントを使うのが良いです。使っていない方はMSアカウントを作成してください。

Power Automateブラウザ拡張
MS Edge用Power Automate拡張機能
Chrome, Firefox用も存在する(クリックで拡大)

今回は「日次で更新される日経平均株価のcsvファイルをダウンロード ▶ グラフ作成用Excelを起動 ▶ グラフを画像としてコピー ▶ テキストともにグラフ画像をツイート」と言ったような処理を組み立ててみました。

まずはブラウザの起動です。アクションの追加は直感的で、画面左ペインから追加したいアクションをドラッグ&ドロップするだけです。

Power Automater IE起動
ブラウザ起動のアクションを左ペインから選択してドラッグ&ドロップ
ファイルダウンロードは現状IEでしか行えないため注意(クリックで拡大)

ここで一つ注意点があります。ファイルのダウンロードを行う場合、記事執筆時点ではChrome等の一般的なブラウザを利用することができず、Internet Explorer(をベースとした「Automated Web Browser」というPower Automate内蔵ブラウザ)を利用する必要があります。

MSが公式にIEからEdgeへのマイグレーションを呼びかけている中でIEしかサポートしていないのはちょっと気になるところ。過去のMS FlowとIEのつくりに起因しているのだとは思いますが、せめてEdgeには早く対応してほしいものです。

アクションを追加するとダイアログが表示されます。設定内容は追加したアクションによって当然異なります。「どのボタンを押すか」「どんなテキストを入力するか」「どのファイルを開くか」「マウスカーソルをどこに移すか」等々の設定をここで行うわけです。

今回はブラウザ起動時に開くサイト(日経プロファイル – ダウンロードセンター)のURLを指定しています。

Power Automater IE起動
ブラウザ起動時に開くページを設定(クリックで拡大)

UI要素の指定(ボタン押下など)は現状やや難あり

なお「画面上のボタンをクリックする」などのUI要素に対するアクションに関しては、UI要素の選択にやや難がある印象でした。手動での指定がうまく行かない場合は、画面上部に表示されている「Webレコーダー」や「デスクトップレコーダー」機能(いわばOffice製品における「マクロの記録」のようなもの)を使って操作を記録してから、あとで必要なアクションだけを利用するほうが上手くいくこともあります。

組み立ててみた

各アクションの細かい説明は割愛しますが、完成した様子がこちらです。(拡大して見る方はこちら)

「とりあえず触ってみる」ことが目的でしたので大したことはしていませんが、一応「定期的に行う業務」を想定して以下のような設定/操作を入れてあります。

  • グラフ生成用のExcelはあらかじめ準備。クエリ機能で外部のCSVファイルを読み込む。起動時にデータ更新を実施(クエリ機能のオプション)。
  • 処理開始時に、前回ダウンロードしたCSVファイルをバックアップ用フォルダに移動し、タイムスタンプを追加してリネーム
    ※本来はDL時点の年月日時分秒をタイムスタンプに用いるべきですが、デモなのでご容赦ください。

なお、レシピ全体は以下のとおりです。(一部見切れております。)

Power Automaterデモのレシピ
Power Automaterデモのレシピ(クリックで拡大)

Outlookの操作もPower Automateでできるので、売上日報のメールを自動で送ることもPower Automateだけでできそうです。個人的にはPowerPointも(マクロではなく)Power Automateで制御できるようになると、ものすごく便利な気がします。有料アドオンでも買うっていう方は結構いるのでは、と思います。

RPAツールは既にたくさんありますが「無料で手軽に試すことができる」のはPower Automateの良い点だと思います。従来はマクロや外部サービスを使わないと自動化できなかったようなものもPower Automateを使うことで「業務効率化のプロセスそのものを効率化」することもできるでしょう。ノーコードのツールには当然限界がありますので、それで対応できない部分/するべきでない部分はマクロ等を組み合わせるのが良いでしょう。

手段の目的化には注意

これはRPAに限った話ではなく全てのツールや技術に言えることですが、「ツールを導入すれば全てうまくいく」と捉えるのは大きな誤りです。そして上手く行かなかった際に「あの技術/ツールは使えなかった」と、さも技術側に問題があったように評するのも誤りであることが往々にしてあります。

これは技術先行で物事を考えがちな一部のエンジニアにも、技術知識がなく世の中の話題に流されやすい人おいても言えます。一番最悪なのは、意思決定や指示をする立場の人間がこれに当てはまる場合です。

様々な技術は「魔法のようなもの」であっても「魔法」ではありません。また、魔法も使う目的や場面を謝れば惨事を生みます。これをいつまで経っても理解できないような方は、たとえ立場が上であろうと、あらゆる業務の進め方に口を挟む資格はありません。

業務効率化を行うにあたってはじめに行うべきは、「あるべき業務の姿はどうなのか?」「それはなぜなのか?」を描くことです。次に「あるべき姿」と「現状」のギャップとその要因を分析し、ギャップを縮めるにはどうすればよいのかを考えます。ここに至るまで、技術名称やツール名称は一度たりとも出してはいけません。

その次なって初めて、描いたプロセスを実現するためにはどういった手段が必要を考え、それに適合するツールや技術を取捨選択します。ここで大事なのが、場合によっては「現状通り」や「手動で対応する」といったような結論も適切な理由があれば正しいということです。ここでも「変えること」が目的になってはいけないのです。

Golden circleに基づき”why”から考えよ

上記を読んでもピンとこない方は、「ゴールデン・サークル」という非常に有名なビジネス・フレームワークがありますので、それを学ぶと良いでしょう。参考の一つとしてTED動画を貼っておきます。(直接リンクはこちら)

業務効率化は、従業員にとっての「生産性向上」や「ワーク・ライフ・バランス改善」と、経営者にとっての「コスト効率化(人件費削減)」の両面で効果がある取り組みです。
業務効率化により組織の課題が解決され、目指す姿に近づけるのであれば、ぜひ取り組んでみてください。

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