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歩く速さで

narita

この記事は1年以上前に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。

以前に書いた知識の集め方という記事で、「効率的な学習」について意見めいたことを書きましたが、今回はその続きというか補足です。

私がプログラミングを始めたのは10歳くらいのこと。
当時は、何か分からないことに遭遇したら、それに関する情報を集めるだけでも一苦労でした。
なにせ、インターネット接続環境がありませんでしたし、Google もまだ存在してはいなかったのですから。
身近にプログラミングに詳しい人もいなかったため、人に訊くことも能わず。
そのため、一つの問題への取り組みが数ヶ月、時には一年以上に及ぶことも珍しくはありませんでした。
情報源となるのはもっぱら書籍・雑誌ですが、その量や種類も、現在のように充実してはいなかった時代。
(その頃、「コンピュータ」というのはまだまだマイナな趣味だったのです。)
故に、「学習」は常に試行錯誤となり、全然見当違いの方向へ考えを進めては引き返すといったことを繰り返していました。
今思い返してみると、なんと非効率的なやり方。
現在のインターネットでの情報収集を利用した学習と比べると、両者のスピードには徒歩と自動車ほどの隔たりがあるでしょう。
しかしながら、この「歩く速さの学習」の経験の有無は、エンジニアとしての力量に決定的な差を与えるのではないかと考えています。

歩いて目的地へ向かっているときは、好きな時に立ち止まったり、気になる路地を見つけたときにひょいとそこに入ってみることができます。
そうやって、面白そうなお店を見つけたり、道の繋がりに気付いたりした経験のある人も多いのではないでしょうか。
学習の場合もそれと同じで、最短経路からの「横枝」を拡げていくことで、これまで無関係だと思われていた事柄がリンクし、知識に幅が生まれます。
自分のいる場所を俯瞰できるようになり、頭の中に「地図」があがっていく感覚ですね。
ところが、移動 (学習) の速度があがるにつれ、この「横枝」を拡げるチャンスは少なくなっていきます。
自動車で移動する際は路地に入れませんし、列車で移動しているときは駅以外の場所で降りることはできません。
その結果、知識からは広がりが失われ、「地図」というよりは一本の線で綴られた「路線図」のようなものになってしまいます。

ですが、かく言う私も、社会人になってからは、この「効率的」なやり方が学習の軸に……。
やはり、仕事を滞りなく回そうとすると、徒歩での移動には限界があるので、どうしても自動車に頼らざるをえません。
でも、それではエンジニアとしての可能性が先細りになってしまうので、プライベートで徒歩型の学習をして、仕事の方にフィードバックするよう心掛けています。

担当: 成田 (道草大好き)
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