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ベルベットのようなコーヒー!?焙煎のプロにコーヒーの表現を学び、『エンジニア向けブレンド』を共同開発してみた

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この記事は1年以上前に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。

去る7月17日にEyes, JAPAN内のFUKUSHIMA HACKER SPACEは『エンジニア・デザイナー向けのオリジナルコーヒーブレンドの制作』というイベントを開催しました。

この記事では一風変わったタイトルのこのイベントの背景や内容についてお届けします。制作したブレンドは実際に販売しておりますので是非お試し頂けると嬉しいです!なお、ブレンドの販売情報も記事の最後に記載しておりますのでご覧いただければ幸いです。

エンジニアの永遠の親友、コーヒー

IT業界にお勤めの方には共感頂けると思いますが、ITエンジニアにはコーヒー好きな人が多くいらっしゃいます。アメリカではAppleやTeslaで働いていたエンジニアがBlossomというコーヒーマシーンのメーカーを立ち上げた例もあり当時話題になりました。FUKUSHIMA HACKER SPACEのスタッフも例外ではなく、オフィスのコーヒースペースには複数のコーヒー豆が常備されており、サイフォンを含む複数の抽出器具や電動ミルが完備されています。

Eyes, JAPAMのコーヒースペース
Eyes, JAPANコーヒースペース

会津若松の自家焙煎コーヒー豆専門店「Lover’s Coffee」

会津若松にはいくつかの自家焙煎コーヒー専門店があるのですが、その中でもEyes, JAPANのスタッフが頻繁に足を運ぶのが鶴ヶ城のすぐ近くに位置する「Lover’s Coffee(ラバーズコーヒー)」さんです。落ち着いた雰囲気で、なんと言いますか思わず深呼吸したくなるような空間です。新鮮な豆で淹れてくださるコーヒーはどれも格別。ぜひ、一度足を運んでいただきたいです。あ、でも大声でお喋りしたりノートパソコンをカタカタやるようなスペースではないのでご留意ください。

Lover's Coffee内観
Lover’s Cofee内観。写真は過去に撮影したもので現在はディスプレイが少々変わっています。

細かい話はのちほど登場しますが、こうした背景もありコーヒーをテーマにしたイベントをLover’s Coffeeと開催するに至るりました。

イベントについて

イベントでは「コーヒーの味わいの表現方法」を学ぶこと、そしてこのイベントに向けて開発を進めてきた「エンジニア・デザイナー向けブレンド」の試飲や、さらに完成度を高めるための「アンケートの収集」を行いました。イベントの概要は以下の通りです。

  • 日時:2019年7月17日(水)18:00〜19:00
  • 場所:Lover’s Coffee (会津若松市)
  • 主催:FUKUSHIMA HACKER SPACE
  • 講師:穂積昇平さん(Lover’s Coffee)

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会場となったLover’s Coffee店舗


* Lover’s Coffeeとは? (Lover’s Coffeeホームページ
「自宅で格別なコーヒーを」をコンセプトにしたスペシャリティコーヒーのビーンズショップ。豆の新鮮さ、風味、余韻を追求し、明日への活力になるようなコーヒーを目指して提供している。

* FUKUSHIMA HACKER SPACEとは?
Eyes, JAPANのエンジニアが発起人となり、社内社外を問わずコンピュータやテクノロジー、科学、デジタルアートなどに興味を持つ人々のコミュニティの形成やコラボレーションの場所を提供を目指す団体。ワークショップ、講義などをオープンな形で定期的に開催中。

開催の背景と会津地域が抱える課題

会津若松市はかねてより会津大学やIT系企業が中心となりITによる地域課題の解決を一つの柱に掲げています。最近では徐々に新たな潮流も生まれていますが、まだまだ課題があるのも事実です。地元の集会や居酒屋で地域の方とお話すると、まだITに対する関心が十分に高くなかったり、ITによって解決できる課題をお持ちにも関わらず技術を持った人が十分にリーチできていない印象を受けます。その逆もしかりで、学生やIT系企業の地域文化・伝統・生活に対する理解も十分とは言い難いと考えています。

こうした状況では真の意味での課題解決はまだ遠いのではないでしょうか?FUKUSHIMA HACKER SPACEでは、こうした課題の解決に向けた長い道のりの第一歩として、IT系とNon-IT系の人々が繋がれる様なイベントの企画・運営を行うことにしました。イベントの企画にあたっては複数の案が挙がり、様々な観点から第一弾はこのコーヒーに関するイベントの開催に至りました。今後もイベントを通して会津地域に根ざした真の意味でのコラボレーションが誕生し、地域課題の解決の一助になればと考えています。

イベントには世界各国のエンジニアが参加

話を今回のイベントに戻します。イベントに参加したのはフロントエンドエンジニア3名、バックエンドエンジニア4名、デザイナー1名、その他2名の計10名です。日本はもちろんのこと、ロシア、ベラルーシ、アメリカ、キューバなど様々な国出身のエンジニアが参加しました。これも国際色豊かな会津大学のスタッフを抱えるEyes, JAPANならではのことでしょう。

味わいを書く2
イベントに参加するエンジニアたち。大半が外国人。

コーヒーの味わいの表現を「学ぶ」

さて、本題。コーヒーの味わいの表現方法について講師の穂積さんから教わります。単に「美味しい」や「苦味/酸味がある」と表現するのではなく、表現の語彙を増やすことでより正確に味わいを言語化することが可能となり、味わったコーヒーを記憶に留めたり、自分の好みを人に伝える際に役に立つのだそうです。「抽象的なものを具体化する」ってテクノロジーの研究・開発プロセスとも似ていますね。

フレンチプレスで二種類のコーヒーを抽出


イベントではフレンチプレスで抽出された異なる二杯のコーヒーが差し出され、まずは難しいことを考えずに味わった際の印象を「黄色っぽい」「赤っぽい」などの色で表現することから始まりました。面白いと感じたのは参加者によって表現する色が異なるという点。その色を思い浮かべた理由を尋ねてみると自分が着目していた点とは違うところに着目していたりして、こうしたやり取りだけでも盛り上がりました。もちろん絶対的な正解というものは無いのですが、二杯のカップの相対的な印象の違いは皆さん感じたようです。

飲み比べる
みなさん真剣に飲み比べています。

続けて「フレーバー」「酸の質」「マウスフィール」などの味・印象に関する複数の要素(観点)と、それを表現する言葉が纏められた用紙が配られ、用紙を参考にしながら二杯のカップの印象を自由に文章化(=言語化)していきます。

表現の例としては、以下の様なものが記載されていました。

  • 風味:チョコレート(ビター、ミルク)/黒糖/黒蜜/ピーナッツ/アーモンド/スパイス/キャラメル/はちみつ/キウイ/パイナップル/マンゴー など
  • 酸の質:爽やか/活き活きとした/繊細な/しっかりとした/洗練された/柔らかい など
  • 口に含んだ質感・量感:滑らか/クリーム/バター/ベルベット/シルク/シロップ/ヘビー/リッチ など

こうして見てみると、実に多彩な表現ができることがわかりますね。なお、記載した観点および表現はごく一部であり、イベントでは穂積さんが一つ一つ丁寧に教えてくださいました。

味わいを書く1
それぞれ感じた印象をなるべく具体的に文章にして書いていきます。
香りのサンプル
カウンターには36種の香りのサンプルがあり、その香りも参考に考えていきます。

記入が終わったあとで「何の豆を使用したのか」および「(穂積さんが考える)各カップの印象」の説明に移りました。実際には詳細にご説明いただいたのですが、文字数の関係で簡潔に記載させていただきます。

  • 1杯目:ケニア・キアマバラ、中煎り(柑橘を感じるフルーティー系)
  • 2杯目:グアテマラ・エルインヘルト農園イエローナンセ、中深煎り(ミルクチョコやアーモンド系)

説明を聞いて納得する人もいれば「私はこういう印象を受けた」とコメントする人もいて、これまた盛り上がりました。食事やお酒でこういう話題になることはありますが、コーヒーでもこれだけ盛り上がるのは面白いですね。

穂積さんによると美味しいコーヒーというものは後味が酸っぱいで終わらずに甘さで終わるとのこと。Lover’s Coffeeはアフターテイストの心地よさを重視しており、それはLover’s Coffeeのブログからもうかがい知る事ができます。

試作段階のフロントエンドエンジニアブレンドを「味わう」

次にLover’s Coffeeで発売予定(記事公開時点では発売開始済み)の「フロントエンドエンジニアブレンド」の試作段階のものを試飲させていただきました。開発にあたり事前に「フロントエンジニアの人物像はだいたいこんなイメージです」というものをFUKUSHIMA HACKER SPACEからお伝えし、それをもとに穂積さんのほうで制作いただきました。

年齢:20-30代
服装:Tシャツジーンズ
性格:比較的フランクな性格、新しい技術の取り入れに積極的、総じてアクティブな感じ
…など。
※色んなご意見があろうかと思いますが、あくまで「ブレンドを作る上での1つのイメージ」ですのでご容赦ください。

一見無茶ぶりにも思えるお願いではありますが頂いてみるとびっくり。生き生きとした印象、そして様々な技術の取り入れを連想させるかのような複雑さ、それでいてスマートなアフターテイストを併せ持つブレンドに仕上がっていました。

Lover's Coffeeでのイベントの様子


上記イメージを実現するためにこだわったポイントを穂積さんに伺いました。

「まず、若さやアクティブさといった特長を明るいフルーティーな風味で表そうと考えました。それを表現するコーヒーを考えたところ、畑の区画から品種、生産処理、人員の確保など徹底的な管理のもとで輸出を取りまとめているエチオピア・METAD社のコーヒーを先進的、アクティブさを象徴する存在として使用。その中で当店が選んだコーヒー豆は「BUKU、サンドライ精製」です。個性が強いコーヒーのため、他のコーヒー豆とブレンドする割合が1/3でも存在感を発揮し、複雑さを感じるコーヒーが出来上がりました。(穂積さん談)」

穂積さん、恐れ入りました。。。

エンジニアのコーヒーの好みや習慣を「集める」

イベント内外ではエンジニアの職業(ポジション)別のコーヒーの好みや習慣をヒアリングするためのアンケートも行いました。

アンケート項目の一例は以下の通り。
Q あなたの職業は?
Q コーヒーの好みは?
Q コーヒーを飲む頻度は?
Q よく飲む時間帯は?
…など。

現時点の集計結果はこちらの画像をご覧ください。集計したアンケートの結果は今回の「フロントエンドエンジニアブレンド」の最終調整のほか、今後の発売予定のブレンド(後述)の開発に使用します。

FUKUSHIMA HACKER SPACEでは今後も様々なイベントの企画にあたってアンケートやテスターの協力をお願いすることもございますので、ご協力いただける方はお気軽にご連絡いただければ幸いです。

フロントエンドエンジニアブレンド発売中!

さて、この記事の公開がイベントからだいぶ遅れてしまったのですが、Lover’s Coffeeにて「フロントエンドエンジニアブレンド」が8月いっぱい販売されております!一風変わったこのブレンド、コーヒー好きの方はもちろんのこと、普段コーヒーを飲まれない方も一度ご賞味いただけると嬉しいです。ちなみに、急冷式でアイスコーヒーにするとホットで頂くのとはまた違った印象になりオススメです。

Lover's Coffee フロントエンドエンジニアブレンド
フロントエンドエンジニアブレンド。パッケージデザインは変更される可能性があります。


また、9月には「バックエンドエンジニアブレンド」が、10月には「デザイナーブレンド」が発売予定です!!いずれの商品も期間限定での販売ですのでお見逃しなく!!

Lover’s Coffee x FUKUSHIMA HACKER SPACE共同開発ブレンド販売情報
1. フロントエンドエンジニアブレンド(8/2-8/31)
2. バックエンドエンジニアブレンド(9/1-9/30)
3. デザイナーブレンド(10/1-10/29)
* 価格:800円(110g/税込)
* 仕様は予告なく変更される場合がございます。

FUKUSHIMA HACKER SPACEの活動情報につきましては当ブログ、またはEyes, JAPANのFacebookで発信してまいりますので、引き続きチェックいただければ幸いです。

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