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ユニバーサルデザイン

gyoda

この記事は1年以上前に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。

この間ユニバーサルデザインについて説明する機会があったので、今回取り上げてみます。本気で話すと長くなるのでなるべく抑えつつ。Eyes, JAPANでは医療・自治体向けのシステム・デザインが多く、この言葉を意識しなければならない案件は日々増えています。

ユニバーサルデザイン

この単語自体よく見かける言葉なので皆さんなんとなく「障碍者に向けても解り易いようなデザイン」というような認識があると思います。

が、 そうではありません。読んで字のごとく「一般的・普遍的なデザイン」というような意味です。大抵何かビジネスをする時は“誰に”ターゲットを意識します が、ユニバーサルデザインに至っては60億人がターゲットとなります。ですので“誰に”というような通常のコンテンツ制作・デザインの意識をずらして対応 する必要があります。

似た様な言葉(と思われている)バリアフリーですが、これは違います。
インドとインドネシアぐらい違います。

バ リアフリーの語源は「棒のバー」から来ています。何か障碍(棒)がある人が乗り越え易いようにしようという明確な“ターゲット”が存在する定義ですね。間 違えてはいけないのは健常者にとって、バリアフリー最適化されたデザインは必ずしも使い易いものではないということです。

ユニバーサルデザイン:60億人に向けたデザイン
バリアフリー:障碍者に向けたデザイン

こう見ると、どちらがデザインをし易いかは一目瞭然ですね。
バリアフリーです。

「○○に困った」→「だから○○を直そう」というはっきりとしたロードマップが出来きています。ですので技能がデザインや現場に溜まりやすく、方法論や教育は確立しているので、やりやすいんですね。

ではユニバーサルデザインのやり方、これは何か。大枠で捉えると7つの原則があると言われています。

ユニバーサルデザインは“障害を持つアメリカ人法”という法律をきっかけに建築家のロナルド・メイスがコンセプトを提示しています。
(余談ですが建築とWebはとても考え方が近いので参考にすると良いです)

原則1:誰にでも公平に使えるようにしろ

原則2:自由度を高くしろ

原則3:簡単かつ直感的に使えるようにしろ

原則4:必要な情報をわかりやすくしろ

原則5:間違いが少なくかつ危険でないようにしろ

原則6:身体的の負担を減らせ

原則7:使いやすいサイズと空間をたもて

さてこれをITのデザイン・システムに当て嵌めようとするとあら大変。

思った以上に難しい。

・書体の選定や文字組
・色覚異常にも対応しブランドを損ねない色彩表現
・解り易いインフォグラフィック
・ターゲットブラウザ
・障碍者への配慮
…etc

表 現の意味においたデザインではルール決めが重要なポイントとなってくるので、ユニバーサルデザインを意識した途端に工程は複雑になります。ターゲットを 絞ったひとつのブランドサイトをデザインするより、全てのユーザーに配慮した大企業のサイトのユニバーサルデザインの方がプロジェクトの難易度は高くなり ます。

世間一般で「デザインちっく」なデザインよりも、普遍的なデザインの方が技術を要するので、その感覚のズレを修正していかないとお金や時間の問題でネックになることもしばしば。難しい問題ですね。

私 としてはユニバーサルデザインはデザイン技術の一つであると考えているので、安売りはすべきではないと思っていますが、デザイナーだけ保有すべき技術では ないはずです。人が使う時、使い易いか、危なくないか、という普遍的な考え・作り方はエンジニア・デザイナーともに保有していく大事な技術であり、常に意 識を張っていきながら作るべき繊細な作業であるはずです。

かといって「誰もが使える」から「安く」にならないように、注意していくのも業界人として問われる姿勢でしょう。ユニバーサルデザインの価値を下げないためにも、“ユニバーサルデザインではないデザイン”を意識することが、デザイナーとしてより重要だと私は考えています。

ちなみにWebサイトには明確なJIS規約(JIS X 8341-3:2010)もありますので、参考にすると良いでしょう。

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