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The Symphony No. 9 in D minor, Op. 125

Yuta Sugii

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明後日11月9日はベルリンの壁崩壊記念日です。今年で丸25年を迎える記念日にはベルリン・フィルの総芸術監督であるサイモン・ラトル指揮、ベートーヴェンの交響曲第9番が演奏されます。この曲はベルリンの壁が崩壊した年のクリスマス(1989年12月25日)にもレナード・バーンスタイン指揮で演奏されています。また、第二次世界大戦後のバイロイト音楽祭でもこの曲は演奏されました。なぜ人類にとって歴史的記念の際にこの曲が演奏されているのでしょうか。

ベートーヴェンの交響曲第9番はベートーヴェン最後の交響曲であり、クラシック音楽において特別な存在です。その理由の1つとして交響曲の中に合唱を取り入れたところが大きく関係しています。これまでの交響曲は管弦楽の演奏が主流で四部合唱を取り入れたことは1度もありませんでした。そんな中、ベートーヴェンは自身の最後の交響曲に合唱を取り入れ、クラシック音楽に新たな可能性を切り開いたと言えます。

そのような先進的な試みは当時の聴衆たちにはどのように受け止められたのでしょうか。 ベートーヴェンといえども初演で批判を浴びた曲は少なくありません。しかもこの頃、ベートーヴェンはほぼ聴力を失っており、経済的にも貧しく、親族とのトラブルにも巻き込まれており、作曲をするためには決して恵まれた環境の中ではありませんでした。しかし、初演から第九は観衆の心に響き、観客総立ちのスタンディングオーベーションだったと言われています。

特徴的な合唱の中はこの曲が開始して約1時間後に姿を表します。不協和音に包まれ、騒音化したオーケストラの中から突如として現れるバリトン歌手が「おお友よ、このような音ではない!我々はもっと心地よいもっと歓喜に満ち溢れる歌を歌おうではないか 」という歌詞の後に、ベートーヴェンが少年の頃に感動したドイツの詩人シラーによる『歓喜に寄す』を歌います。特に有名な”歓喜の歌”では「すべての人は皆兄弟になる」という人間愛に包まれた歌詞が、華やかなサウンドと共に歌われます。バーンスタイン指揮によるベルリンの壁崩壊直後の特別演奏会では第4楽章の“Freude(歓喜)”を“Freiheit(自由)”という歌詞に変え、歌われたサプライズも有名です。

今年の25周年演奏ではサイモン・ラトル指揮による演奏で行われますが、彼の演奏は先進的であると言われています。2002年にウィーンフィルとのベートーヴェン全交響曲集は非常に話題になりました。彼の第九の演奏で特徴的な点として、最後の交響曲の終わり方が他の指揮者よりも遅く、またアーティキュレーションが非常に明確であり、音がシャープに演奏されるという点です。第九も当時では先進的な曲として評判が立ちましたが、約200年の時を経た今、先進的な演奏として評判のある彼の演奏には目が離せません。実際の演奏はデジタル・コンサートホールで中継、アーカイブ化されます。

今年も残すところあと2ヶ月を切りました。年末といえば第九と言われるほど日本各地で演奏され、会津でも第九が演奏されます。今年は実際にコンサートホールで聴きに行き、実際にベートーヴェンの音楽に包まれてみればどうでしょうか?

 

参考URL
25th anniversary of the Fall of the Berlin Wall
http://www.berliner-philharmoniker.de/en/titelgeschichten/2014-2015/mauerfallkonzert/
SIMON RATTLE CONDUCTS BEETHOVEN’S NINTH
http://www.digitalconcerthall.com/en/concert/20290
ベルリンの壁崩壊記念コンサート(映像)
http://www.hmv.co.jp/news/article/1407030046/

杉井

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